「パートナーシップ」って何かね(菅原文太風に)

 2人出産・別居16年、関係一方的破棄でも賠償認めず
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041118i104.htm
 
 何だか賛否両論ありそうな判決。

 判決などによると、2人は1986年、婚姻届の提出を取りやめ、「特別な他人として親交を深めることに決めました」と友人らに宣言。同居はせず、長女と長男をもうけた時だけ婚姻届を出して、出産後、すぐに離婚手続きをした。子供の養育は男性の母親や施設に任せたが、旅行に一緒に行くなど関係は続いた。
 ところが、2001年に男性が、別の相手と結婚することを女性に告げたため、女性は「パートナーシップを破壊され、精神的損害を受けた」として提訴した。

 ちょっとNHKの連ドラ「私の青空」の続編みたい。あれは確か田畑智子筒井道隆カップルが子供を間に挟んで別居して、結婚にとらわれない生活をしましょうね、と言っていたら、筒井道隆が苦労してる菊川怜にほだされてしまい「結婚してないんだからぼくは彼女と結婚してもいいはず」と言い出す、という話だった。最後どうなったか忘れちゃったけど。覚えているのは菊川怜の「わだす、そんなづもりはながったんです」という偽東北弁だけという…
 「子供の養育を男性の母親や施設に任せた」ってところが気になるなあ。このカップル2人とも子供ちゃんと育てる気があったのか?判決内で「子育てで協力してない」と言い切られてるところをみると本当に任せっきりだったのか?子供たちがどう思ってるのか聞いてみたいところだけど。
 婚姻届を出さない状態で婚姻関係があると見なすには、家事でも家庭運営でも何でもいいから「2人が協力してなしとげていくこと」が重要なポイントなのかな。同居しているということは何かしら二人の間で役割分担があるわけで、生活費を入れたり家事をしたりと何かしら協力関係にある、というふうに取れるのでしょう。別居しているとなると互いに協力関係にあって何かしら助け合っている、ということを認定するのはなかなか難しい。公正証書で契約しておくか、あとは子育てで協力し合ってるところを示す以外ないと思う。今回の判決で継続的関係の合意がないと見なされたのは「子育て協力ポイント」が低いと思われたところにあるんだろうと。だって恋人同士でも旅行はするもんなあ。疲れたときに癒しあう、ってのも恋人同士でアリだし。
 この男性にとっての「婚姻届を出す結婚」の決め手って何だったんだろう。何かしらきっかけってあると思うんだが。菊川怜みたいに苦労してる女性で「君は1人でも大丈夫な人さ。でも彼女は僕が守ってあげなくちゃいけない人なんだ…」だったらあまりにクサ過ぎてドッチラケですけど。
追記
 下記に判決の全文が載っています。
 http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/619f58ae3984869449256f50001d928e?OpenDocument
 うーむ。絶交期間があったのね。つーか、損害賠償ならこの絶交期間のいろんな出来事についてなのではなかろうか。子供の養育については公正証書作ってたのか。
 この2人にどの程度「恋人同士ではなく婚姻状態と見なせる別居婚」という認識があったのだろう。多分女性の方は厳格にそうであったのだろうけど、男性のほうにはそれほど厳然たる認識がなかったのじゃないか。“特別な他人”であるパートナーだというなら、その認識のズレというか温度差について、話し合うなり何なりしてきちんと互いに把握しておくべきだったのでは。別に法律に縛られることはないけど、互いに恋人同士ではない特別なパートナーであることを選んだのであれば、意思疎通って一番大事だし(普通の人付き合いでもそうだけど、特にね)、そういう肝にあたるところはしっかりおさえておかないとまずいだろ。