汚れた大人になってしまったのだろうか

 KOKAMI@network「リンダ リンダ」(作・演出 鴻上尚史)inシアターアプル(ちょっとだけ曲バレ)

 最近どうも鴻上さんの社会的事件の盛り込み方が合わなくて「なんか朝日新聞みたい」と思ってしまう自分がいる。今回だと諫早湾の堤防の話。これについては「からくり民主主義」(高橋秀実 草思社)を読んだから余計に違和感を感じてるのかも。いろんな小ネタはくすぐられるんだけど、堤防は悪!国家は悪!みたいに単純化されると冷めてしまうというか…*1
 ブルーハーツ、高校時代にすごく人気があって、文化祭で歌うバンドのうち9割くらいがブルーハーツのコピーだった。パンフのほとんどに「原発反対」とか書いてあって、お前らオリジナリティちゅうもんはないんかい!と思っていた私が聞いていたのはおもいっきりJ−POPの大江千里だったんだから笑うしかない。青春て恥ずかしい。
 だもんで、ブルーハーツにあまり思い入れはないんだけど、どこかで耳にしてはいい曲だなと思ってたものもあって。昔鴻上さんの「トランス」で流れた「夕暮れ」はすごく好きで、劇場で泣いてビデオ見て泣いて、歌詞を頼りにCD屋で探して買ったくらい好きだったので、正直この芝居で流れた時はちょっとヤだった。もっとちゃんと使ってくれよと思ってしまった。その他の曲は思い入れがない分、こだわらずに聞けたような。特にSOPHIA松岡充、歌い手さんだけあって歌の魅せかたを知ってるなあという感じ。自然に目が吸い寄せられるというか、何だろ。華があるのかな。彼の「青空」よかった。ブルーハーツのファンは怒るかな…あの、ちゃんと元歌聴いてみますので、ハイ。
 北村有起哉の役はナイロン100℃の大倉孝二くんでもよかったなあ。大高さんの元過激派は相変わらずだなあと思いつつ、この鉄パイプがらみネタ一切、若い子分かるかなあと余計な心配。
 劇団休止以後の鴻上さんの芝居、全部見たわけじゃないけど、結構見たんですね。自分が変わってしまったのか、大概肩透かしくらって帰ってることが多くて。(特に「ピルグリム」はがっかりした)感受性が磨耗したのかとか、私は汚れた大人なのかとかそのたびに考えてるんだけど、昔のビデオ見るとちゃんと反応できるんですね。それが懐かしさからくるのか、ちゃんと自分の感受性が何かを捕らえてるのか。自分では後者だと思っているんだけど…ま、いつもなんかいろいろ考えてしまうってことは、刺激される何かはまだ持ってるんだなという風に理解しているのですけれど。
 近くの席の子が「社会の出来事の盛り込み方が秀逸!さすが鴻上さん!」と言ってるのにはそれはどうだろう?と心の中で突っ込んでしまう自分がいた。ヤな大人です。

*1:まあ、辞めたドラムが埋め立ての仕事をしてるってのがそう単純化できないんだよ、って示唆なのかもしれん