粋とは程遠い

ふぅ…暑苦しい日々がまた始まるのか…「愛の流刑地」です。
ドアを開けると冬香が飛び込んでくる。髪は上げてあるが「まだ」洋服のままだ。
時間がなかったので浴衣は持ってきたのだそうだ。そういえば大きな紙袋を抱えている。
ここで着替えていいですか、という冬香に菊治はうなずく。冬香はバスルームへ向かったのちベッドルームで着替えだ。シャワー浴びたのかな、と思う菊治。分かるだろうに…
着替えた冬香にしばし感激。淡いブルーの地に白と紺の小さな花柄、臙脂の帯を締め、胸元には菊治の贈ったハイヒールペンダント。和と洋のコラボですか。ガキじゃあるまいし。

「涼しそうで、よく似合う」
「あなたも素敵よ」
「いや、十年ぶりに着たんでね」
「すっきりして、粋だわ。また惚れ直しました」

そんな浮かれポンチな会話を交わす2人。
美男美女はでかけるとしようか、と菊治は軽口をたたき、どちらからともなく玄関で接吻する。大分混んでいるかも、とかなんとか言いながらエレベータで1階に降りると、花火が上がり始める。まわりからもわあ、という歓声が聞こえる。瞬間、菊治と冬香は夜空を見上げたまま、しっかりと手を握る。
つづく。
どこ行くの…今更外苑まで出るっつーの?No Planで?さっき管理人さんに確認して準備万端とか言ってたのはなんだったのさー!