ぐだぐだやな

分かりやすいな、中瀬。「愛の流刑地」です。
二日後、中瀬はクッキーを手土産に面会に現れた。
菊治の曖昧な返事に少し焦れたように、他社からも出版の動きがあるが何か聞いてないか、と問うてくる。「その前にあんたから約束を取り付けたくて…」
これまで中瀬は菊治のことを「おまえ」と呼んでいたのに、留置所に入ってからは「あんた」に変わってしまった。菊治はそのことがおかしい。
「今まで親しく付き合ってきたのに他社に抜かれたら立場がない」という中瀬。いいよ、と菊治が答えると途端に中瀬の声は弾む。それに反して菊治の心は浮き立たない。
必ずいい本にするし装丁や広告もしっかりやると言われ、そんな優しい言葉を出版社の人間から言われたのは初めてだと気づく。
いつごろ出来上がるかという菊治の問いに、全力で急ぐから一ヶ月くらいで出版できると答える中瀬。その頃自分はどうしているんだろうか…
つづく。
中瀬の態度の豹変ぶりがなんとも…。これぞking of 掌返し?
いろいろ奢ってあげていたのも、目が澄んできたとかなんとか言ってやってたのも、この日のためだったかのような「今まで親しくつきあってきたのに」の一言。
菊治もたいがいですが、中瀬もたいがいです。似たもの同士だったんだなあ。