ぽちっとな

とりあえず昨年末の分を。「愛の流刑地」です。
(29日〜31日)

菊治は一瞬、息を呑む。

検事の「男は醒めてんでしょ」発言に戸惑う中瀬。戸惑ってる間に美雪ちゃん「女性が欲望のままに殺して、って言っても男は醒めてて冷静なんですよね?」と畳み掛ける。中瀬は慌てて否定。「男がいってからのことで…」いく、などと俗な言葉を使ったことに気づいた中瀬、あわあわしながら言い換える。

「あのう、二人が愛し合って頂点にのぼりつめるまでは、二人とも狂った状態で、その、どちらがどうということではなく…」

美雪ちゃんなおも畳みかけ。「でも小説には途中でも女のほうがはるかに燃え上がって激しさに男が戸惑うんでしょ?」あわあわし放題の中瀬「そりゃごく軽いときで二人とも燃えたら違うもん、それにこれ小説じゃん」とそれを言っちゃオシマイよ的慌てぶり。さらに美雪ちゃん。

「でも被告人が被害者をもっとも愛していたときに書かれていたもので、被告人の気持が一番正直に書かれている。そういうことで、証拠として採用されたのではありませんか」

あら、美雪ちゃんがマトモなツッコミをしてはります。
中瀬は「でもこれはあくまで文学作品で…」と返すことしかできない。見かねたのか北岡弁護士が発言する。
「検事は作品の一部しか見てないから行きすぎ。被告人がいかに被害者を愛していたか、その結果こういう愛の結晶が生まれた、と読み取れよー」
…そんな読み取り方まで指定する証拠なんて聞いたことねえ…オマエは素人か!
ともかく、弁護士の発言で中瀬の証人尋問は終わり。ここで弁護士が裁判官の許可を得て菊治に質問する。
「“F”は被害者のこと?」
「はい」
「作品の完成は被害者との熱い関係から?」
「はい」
「被害者は何か言ってた?」
「書いてるときから励ましてくれ、できあがりを褒め、出版がダメだったら出版社回りをしてくれると言ってくれた」
「要するに、二人の愛の結晶ということですね」
「はい」
ボイレコの提出を宣言する裁判長。即、公開禁止の申し出をするキタちゃん弁護士。検事は異存なしということで認められる。裁判長が傍聴人らに告げる。

「これからおこなう録音の再生は、善良な風俗を害する恐れがあるので、公開を禁止します。傍聴人は退廷してください」

菊治としては傍聴人に聞かれずに済んでひと安心。しかし、「善良な風俗を害する恐れがある」とはずいぶん大袈裟だなと、驚き呆れる。
10分少々で傍聴人退廷。
書記官が裁判官や検察官に白い紙を配る。事前に弁護士に聞いていた話では、重要部分を速記するとのことだったので、記録用紙だろうか。

それにしても、他人の情事をきいて速記するとは、裁判のためとはいえ、するほうもするほうである。

…これ裁判だからな。
読者が菊治が呆れていると裁判官から始めてくださいとの声。
再生。
「ねぇ…」「ねぇ、だめなの…」「すごくいいの」
普通の会話もしていたのに、いきなりこれからか、とちょっぴり驚きの菊治。
「いい?」
自分の声に超身震い。
つづく。
弁護士が「この証拠はこういうふうに読めや」と言ったらそこで尋問終わるってどういうことだ。検事は鼻で笑いながら「お前素人かよ?」と突っ込んでやらにゃーいかんだろう…ま、そんなことをいってもせん無きことですが…
そして淳ちゃんからのお年玉はボイレコ再生だったのですね。何とかならないかなー、日経新聞