ママとお母さんの分かれ目

先日酒井順子さんの10年くらい前の本「女の分かれ目」*1を読んでいたら、「ママと言う女・お母さんと言う女」という章があり、ものすごく納得してしまった。全文引用したいくらいなのだが、自分の母親を「ママ」と呼びつづけて育つ女性と「お母さん」と呼びつづけて育つ女性には行動に違いがある、という分析。

つまり「お母さん」の場合は、あくまでも母が上、子が下という上下関係において、その距離が縮まるという仲の良さ。子が母を尊敬する、とまではいかないまでもとりあえず「これ以上は言っちゃいけない、知っちゃいけない」という境界線が、母と娘の間に確立している。対して「ママ」の場合は、ある時点で子の高さが母親と同じになっている場合があるのです。子が母の高さまでいくこともあれば、母が子の高さまで下りることもある。とにかく、横並びに存在する二者の距離が縮まっていく仲の良さ。

若いことこそがいいことだ、というムードが世の中に蔓延していると、ママと呼ばれたがる人は増える、と酒井さんは書いています。「お母さん」というと上記のような上下関係の上に位置する者であるため、どうしても若さとは対極にある存在になってしまいます。ところが「ママ」であればうまくいけば娘と親友のような関係、すなわち若いとされる位置におりてくることが可能なわけですね。はなから上下関係がないわけですから。だから若いと思われたい人が増えればおのずと「ママ」派も増えてくると。確かに、先日上司(女性)に聞いたとき、「お母さん、てすごく年がいった人ぽくてイヤだったからママと呼ばせていた」と言っていました。
もし興味がありましたら読んでみてください。何かちょっとスッキリしました。