気になる(ネタバレかも)

対岸の彼女

対岸の彼女

小夜子と葵のそれぞれの学生時代の息詰まる感じは、ある一定の世代から下の人にとっては、学校という場所に必ずある思い出で、それが共感を呼ぶのだと思う。だから出版社の「負け犬と勝ち犬の間に友情は成立するのか?」というコピーはちょっと本文の内容とはかけ離れていて、そういうことがいいたいわけではなかろう、と思うのである。距離感を作っていく過程というのが自然で、小夜子が腹を立てたり葵を理解したりする流れに無理がない。この2人に関しては、いろいろ今後もぶつかったり仲直りしたりしながらなんとかなるのであろうと思う。
で、私が最も気になるのはこの2人のことではなくて、小夜子の夫・修二である。何、子供を風呂に入れてくれと頼んだら舌打ち?!自分の母親の誕生日を毎年祝うのに小夜子が行かなかったら「ひとりで行ってもしょうがない」?!行ったら行ったで妻がこきつかわれてるのに自分はソファで寝転んでるだあ?…すみません、取り乱しました。ええ、気を取り直して。夫が出てくるたびに気になって気になって。小夜子ももう黙ってはいないのだと思うけど、こういう男が変わるってことあるのかぁ?(疑いの目)と思ってしまい、角田さん曰く「ハッピーエンドです」とのことであるが、小夜子と修二の夫婦関係についてはあんまり解決してない気もするんだけどどうだろう。ちょっと何とかなるかも的なところはあるけど、あくまでも小夜子が働いてなければ、っていう条件下な気がするしなあ。