見合い結婚いいじゃない

カマトト万歳!「愛の流刑地」です。
好きではない、とはどういうことだろうか。
「好きではないって、彼を?」と菊治は問い、冬香は少し間を置いて「はい」と答えた。冬香のどこか寂しげな、耐えているような気配は雪国育ちの女だからだと思っていたが、そうではなかったのだろうか。

「でも彼とは恋愛結婚でしょう?」
「いいえ…」

見合い結婚だと答える冬香。

いまどき、そんなことがあるのかとおもうが、地方の古い家の間では、なお、見合結婚が多いのかもしれない。

と分析する菊治。なおも菊治は「好きだから結婚したのでしょう?」と尋ねるが、冬香は「皆がすすめるのでいいかと思った」とのことである。確かに冬香は周りの人に反撥するような子ではなかったのだろう、と菊治は想像する。特に夫と意見が合わないということもなかった、という冬香。

「わたし、あれがいやで、苦痛だったのです」
「あれって、セックスのこと?」

菊治の言葉にうなずく冬香。驚く菊治。

「でも、どうして?」
「なにか、初めから辛くて…」
そこまできいて、菊治は思わず冬香を抱きしめる。

つづく。
夫のことも性交も好きではなかった冬香です。それにしてもこの女性は無気力ですね。自分の結婚もなんとなく、子供が3人産まれたのもなんとなく、多分菊治とこういう関係になったのもなんとなくなのではなかろうか。冬香はおそらく、相手の求める姿をそのまま写す鏡なのでしょう。自分がどうしたいかというよりも、相手がどういう姿を自分に求めているかを読み取ることがうまいのかも。今後菊治と別れて違う男と関係をもったとして、その男性がテク自慢の方だったりした日にゃあ、そりゃあもう「こんなのはじめて」。相手に「でも不倫したことあるんじゃないの?」と問われたら「そんなに好きではなかったのですけれど、なんとなく誘われたので…有名な作家さんだったし…」とピロートークで答えそうです。例えそれがAVだったとしても、相手がそれを求めていたら出ちゃうかもね。「流されて雪国の女〜子供が3人おりますねん」