ピロートークは尋問調で

あーもうめんどくせー(冬香)「愛の流刑地」です。
冬香は夫と性的にうまくいかず苦痛であったようだ。でもなぜ3人も子供を産んだのか。菊治は悪いと思いながらも聞いてしまう。

「ただ、なんとなく、そうなってしまって…」

はっきりしない答えだがそれが本当のところなのだろう。見合い結婚で、体の喜びとは別に、妊娠してしまった。ではなぜ3人も子供を産んだのか。大変だったろう、と同情気味の菊治に冬香はさばさばとした口調で答える。

子供がいるほうが、気がまぎれるし、それに、妊娠していると求めてこないので…」
「彼が?」

うなづく冬香の白い項を見て、菊治はさらに切なくなる。冬香の夫の求め方が乱暴だったのか、一方的だったのか、肌が合わなかったのか。

「もう、産まないのでしょう」
「はい…」

しかしそれなら、ますます冬香は逃げ場がなくなるのではないか。
彼は求めてくるのかと、他人の夫婦関係を覗き見する卑しい男のように思いながらも菊治は尋ねる。求めてこられたら、体調が悪いとか生理だとか言って断るのだという。なおも菊治は聞く。それでも求められたら、どうするのかと。
冬香は答えない。
菊治はその無言の答えを受け取り、ドンドン想像を膨らませる。

考えているうちに、菊治の脳裏に、冬香の白い肌が夫の体に組み敷かれ、挿入されている姿が浮かんでくる。
「そんな…」
突然浮かんだ想念を振り払うように、菊治は思わず両手で自分の頭を抱えこむ。

つづく。
何だか冬香が怖くなってきました。さばさばとした口調で「子供がいるほうが、気がまぎれるし、妊娠していると求めてこないので…」と語る母親、ってかなりホラーです。それなら「もともと子供は好きなので…行為はスキじゃないけど、子供のことは好きなんです」と言ってくれた方がよかった。人間の暗い闇の部分を垣間見たような気持ちです。何ですか、子供ができたと判明するたびに冬香は「やったー、セックスしなくてすむー」と思うわけですね。で、出産日が近づくにつれ「あー、お腹から出てきちゃったらまたセックスしなきゃいけないのかー、でもしないと妊娠しないし、妊娠してないと求められるし、困ったなー」と思うわけですか。しょちゅうセックスのことばっかり考えてるんでしょうか。子供とどう接してるんだろう…この人自分がないけどPTAとかでやってけてんのかな。
一方、自分のテクを棚上げしたまま「でもなぜ3人も子供を産んだのか」がとても気にかかるらしく2回も同じセリフを繰り返してしまった菊治ですが、冬香のちょっと病気入ってる人みたいな受け答えには全く頓着せず、冬香の夫が冬香を組み敷く姿を勝手に想像しては悶えています。この人については勝手にやっててください、ということで。
それよりも、この無気力な母親・冬香に育てられた子供たちは大丈夫でしょうか。心のケアを強く望みます。