スパンが早い

淳ちゃん、他の描写はどうしたの。「愛の流刑地」です。
6日後、冬香はまたも菊治の部屋に現われた。今度は朝11時〜昼2時の逢瀬である。
菊治は今回も玄関のところで待ち構えた。ストゥールをはおり、春の微風が流れ込んできそうな装いである。
家族を置いて男と逢っているなど、身勝手で許されない女だといわれそうだが、普段は子供や夫の世話で家に閉じ込められているのだから、ほんの3時間程度の外出で責められるようなこととはいえない。と菊治は思う。だが、その短い外出が実質不倫のための外出なのだから、それを考え始めると菊治は複雑な気持ちになる。とりあえず、その複雑な気持ちは脇にのけておいて、菊治は逢う時間を空けるのである。
毎度のことながら、玄関・接吻・寝室への流れで。
今日はいつもより1時間長くいられるのだ。

「ゆっくり、いじめてやる」
「だめです、お手やわらかにお願いします」

そんな戯れを言っている最中に、ふと菊治は冬香の夫が今何をしているのか尋ねてしまう。子供たちを連れてデパートに出かけているそうだ。

なにか、ひどく罪深いことをしているような気がするが、それも近くに住むようになったせいか。
「離れていたほうが、なにも知らなくてよかったのかも…」と、菊治は思う。

つづく。
アンタが聞くから冬香が答えるんだって。聞かなきゃいいじゃん。
淳ちゃん帝国の製薬業界は好きな日にお休みをもらえるようですね。よくよく考えれば前回も平日だったか!