エサは他にもあるのですよ

結婚してるわけでもないのに、釣った冬香に(セックス以外の)エサをやらない菊治です。
愛の流刑地」です。
(26日)
このときを待ち焦がれつつも菊治は急がない。自分は抑えて冬香を遊ばせる。

それは愛の表現でありながら、一つの調教でもある。

正常位→横ハメ→バックのコンボで。
「いやっ」とバックの体勢に恥じらいながらも体は正直やで、な冬香。

だが菊治は冬香が乱れれば乱れるほど愛しい。
「ごめんなさい」といいかけるのに「いいんだよ」と囁く。

2人きりだから大丈夫、声をお出し、との菊治の指示に素直に従う冬香。そのよがり声を聞き、よがり声をだされて喜ばぬ男はいないといつもをうんちくを。そんな冬香のよがり声をお聞きください。

「いいわ、いいわ」
「駄目なの、ねえ、もう駄目なの」
「やめて、やめてください」

その言葉どおりにやめてしまったら、不満げな声を漏らされるだろうからやめはせぬ菊治。

「ふゆか、ふゆか」(菊治)
「あなた、あなた」(冬香)

だめ…という言葉を最後に、冬香フィニッシュです。
(27日)
情事のあとはいつも穏やかな時間である。激しい時間とは対照的だが、体はまだ快楽の名残をむさぼっている。女性は何度もその快感を反芻しているようだ。

菊治はそんな冬香を抱いたまま、項から背を撫ぜてやる。前戯と本戯があるとしたら、それはまさしく後戯だが、余韻をむさぼる女性にとって、後戯は欠かせない歓びで、そこまでして性の饗宴はようやく完結する。
「よかった?」

たとい快楽の余韻をむさぼっていようとて、それを聞いたら台無しなのですが、菊治はおかまいなしのようです。冬香はそれに対し「はい」と答えるが、菊治はそう答えられる自信があるから毎回聞いているのだそう。
戯れに、冬香のよがり声が凄かった、と言ってやると周りに聞こえていたらどうしよう、と心配する冬香。壁が厚いから大丈夫、と宥める菊治。冬香は安心したように顔を伏せた。
そのまま軽くまどろむ2人。菊治は時間が気になり時計をみると、11時40分をさしている。

「ねぇ、大丈夫?」
なぜ、こちらからきかねばならないのか。冬香が黙って休んでいるのだから放っておけばいいいのに、気になるのはやはり小心者だからか。

はいそうです。

1時間で帰れるなんて夢のようだ。菊治と冬香は同じ気持ちだが、結局冬香のほうがさきにベッドから離れてしまう。
(28日)
菊治がバスルームから出ると冬香の身支度は終了している。
子供はまだ春休みなので家にいるという。夫もいるのか、と聞きたいがそれは口にせず、今度はいつ逢えるのかを尋ねる。
学校が始まる6日以降なら、幼稚園の終わる時間である1時までに戻ればいいらしい。うまくいけば週に1,2度は逢えるだろう。冬香はこの部屋に誰か来ないのかと聞いてきたが、特に来る者はない。部屋の掃除のために雇っている者がいるが、その人も午後にならないと現われないのだ。この部屋に他人が来ることを心配するならと、菊治は言う。

「それとも、どこかホテルの方がいい?ラヴホテルなら新宿あたりにも沢山あるから」
「いえ、こちらがいいです。ここに来させてください」

(読者から見て)大慌ての冬香。菊治は暢気に「ラヴホテルに入るところを見られたら困るからかな?」などと考えている。
冬香の胸元に光るハイヒールペンダントに目を向け、夫にバレなかったかと聞いてみる。大丈夫でした、との返事。

「その靴に、幸せを入れてやらなければならない。もっともっと、いっぱい快くなるように」
「そんなことしたら、此処から帰れなくなります」

そんなことを言い合いながら、菊治はふと祥子の「あの人、本気になったら大変よ」という言葉を思い出す。

どうやら、大変になるのを待っているのは、菊治のほうかもしれない。

つづく。
アンアン言わせる=幸せとは違うぞ菊治。とうとうラヴホテルで逢いましょうという提案までしてしまいました。菊治、外で逢うのはよせ。言語能力・コミュニケーション力がないのがバレてしまいます。どうせ外で逢っても待ち合わせ場所→ホテル→解散、だろうから、デートしてる気になれません。それなら冬香にとっては直行直帰のほうがナンボかましでしょう。
冬香ほんとに楽しいか…?なんかイタイタしいわ、この人。これで幸せなんて、お気の毒に。あ、でも淳ちゃん帝国の住人だから、セックスの充実=人生の充実みたいだからいいのか。そりゃまた失礼。