友達は大事だね

子供の関係の…とかじゃなく、自分自身の友達がいれば、冬香はカンチガイしないで生きていけたのに。「愛の流刑地」です。ちょっと長くてすみません。
(15日)
声だけを聞いているほうが妖しく昂ぶってくる。
「だめです…」「やめて…」
ああ、このときは冬香の秘所を嬲っているところだったなあ、などと思い返していると、自分の息子さんは奮い立ってくる。「だめです…」「やめて…」「ゆるして…」「ごめんなさい…」でレコーダの中の冬香はフィニッシュである。
こうして聞いてみると、昇り詰めながら冬香は謝る言葉を連発する。女は感じて淫らになってはいけないと思いながらも燃えているのだろうか。幼いときからの教育で自身を裏切っていることへの罪悪感からだろうか。菊治としては抑制しようとしつつも喘いでしまうその漏れてくる感じがたまらない。
(16日)
レコーダを通して聞いていると、冬香が自分ではない男と睦み合っているように思えてくる菊治。レコーダの男は昇り詰めた冬香に「よかった?」と聞き、「だめじゃない」と言っている。「欲しいの?」とさらに聞き、どうやら挿入したらしく冬香の漏らす「あっ…」という声も聞こえる。
「だめぇ…」「ねぇ…」「いいわ…」「あなた」「ふゆか」「あなた」「ふゆか」
「すごいの、すごいの…」「殺して、ねぇ、殺して…」「お願い殺して、このまま殺して…」「死ぬぅ…」というレコーダの喘ぎを聞きながら、菊治は自家発電。最後は「冬香…」と吐息を漏らしてフィニッシュであります。
(17日)
翌日朝9時半に冬香はやってきた。
こっそりレコーダで箱根の一夜を再現して、1人自家発電していたことは伏せたまま、菊治は冬香に「昨夜すごく逢いたくて…」と告げる。冬香は菊治の夢を見たという。菊治のサイン会に並んでいるという夢だったそうだ。接吻しながらいつものようにベッドになだれ込む2人。スリップも問題なく脱がせたり。今度着物を着て欲しいと頼む菊治に、冬香は夏休みに子供たちを田舎に帰せば一人になれるかもしれないので、そのときに浴衣を着てくるという。着物つながりで菊治1人風の盆を思い出す。菊治は風の盆の中腰での踊りとそのときの手のしぐさを思いながら、冬香の手を自分の息子さんに導く。いつか2人で風の盆に行きたいものだが、それは難しいようだ。
なおも中腰の踊りのときに花蕊はどうなっているのだろうとエロ妄想を働かせながら、菊治は冬香の花蕊に触れる。すでに優しく潤っている。
「いっぱい、いったあとに踊らせようかな」イヤン、といった風情で、冬香も嬉しげに腰をよせてくる。
(18日)
このごろの冬香は果てるのも感じ始めるのも早い。
しばらく焦らしていると「ねぇっ」と冬香がねだってくるので、それから菊治は横挿入で合体する。どれくらいで達し、どれくらい堪能すれば納得するかはほぼ分かっている。だが、最近の冬香は昇りつめた状態を延々保ち続けることを求めてくる。今日の菊治は昨日の自家放電のおかげで持ちがよい。今日も最後は「死にたい…」「殺して…」で冬香フィニッシュである。
いったいどこまで燃え盛るのかと、菊治は冬香に不気味なものを感じる。そんな気持ちはつゆしらず、冬香は菊治にしがみついてくる。

「すごいの…」
「…」
「あのいくでしょう。そのとき、頭から指先まで、全身の血が音を立てて流れて、走りだして…」

冬香がしみじみと「こんな身体にされちゃって…」というので、菊治としては恨みごとを言われてもそりゃ違うだろ、と思っていたら今度は「あなたって、すごいわ」と褒められ面食らう。
そして必殺の冬香の一言はこちら!

「わたし、あなたのいうことなら、なんでもします。いわれたとおりにしますから、命令して…」

さすがの菊治も何を命じたらいいのか分からず戸惑っていると、冬香の会心の一撃はコチラ!

「あなたの奴隷になるわ」

♪だから〜いつも〜そばにおいて〜ね〜♪…ってオイ!歌っている場合ではなく、菊治はそこまで言い切る冬香が怖い。
(19日)
数億の金を自身の勤める金融会社から騙し取った女のことを思い出す菊治。一時期テレビでも話題になったニュースだが、その犯人の女は悪びれる様子もなかった。一般の人々はバカな女だとあざ笑う反応だったが、その女は恥じることもなかった。熱く狂おしい快楽に導いてくれる男のためなら何だってするのだ。
今、冬香もその女と同じ状態だ。子供や夫を捨てて家を出ろといえば出てくるだろうし、夫を殺せといえば殺すだろう。…そこまで考えて菊治は首を左右に振る。そんなこと命じたらたいへんだ。自分も生きてゆけなくなってしまう。
そんなことを思っていると、冬香がふとつぶやく。

「わたし1人だけ、別の世界にきてしまって…」
「別の世界?」
「そう、誰もこんなこと、知らないでしょう」

聞くと、子供の学校関係で知り合った人と男の話になったという。日ごろそんな話はしないのだが、その女性とはすこし親しくなり、彼女が「恋がしたい」というようなことを言っていたらしい。

それは冬香のほうが先輩だ
そうなんですけど、凄く愛し合ったら離れられなくなるかも、といったらそんなドロドロは嫌だって…」

…全然羨ましくない先輩です。まあ学校の先輩にも、ただ先に生まれただけで偉そうな顔をするイヤな先輩ていましたからね。それと同じだと思えば腹も立ちますまい。さくっと先輩面している「そうなんですけど」もなかなかイヤ風味をかもし出していますね。
ともかく、そのママ友女性は、ドロドロするよりも家庭を壊さない程度の軽い恋愛に憧れているようです。

「でも私はいいの。こんなすごい世界を、あの人たちは知らないのだから」

つづく!
サボっていたらこんなことになっていました。大変です。冬香はどんどん増長してきましたよ。「こんなすごい思いをしているのはわたしだけ」ああおめでたい。冬香というのは会話をするとそのまま額面どおりまるっとしか受け取れない人なんですね。
私には子供がいませんから、ママ友同士での会話というものを想像することしかできませんが、普通の大人として考えてみるに、夫以外の男性とごってりした恋愛をするなんて話をママ友同士でぶっちゃけられるものなんでしょうか。例えば「ウチのダンナなんてもう全然かっこよくなくてダメよー、芸能人の○○みたいな人に口説かれたら即堕ちちゃうわー」「もー、○○さんたらー」的な会話はするかもしれませんよ。でもそれってOLさんたちにおける「いい男いないかなー」的会話と同じで、もし本当にごってりした恋愛やセックスをしていたとしても、そうそうみんな口にしないでしょ?大人だから。かなーーり親しくなっていて、そういう会話を話してもいい仲間内だけでこっそり披露される事柄だと思うのです。いわんやママ友をや。冬香がそんな深い人間関係を築いてるとは到底思えませんよ。菊治と深い肉体関係を築くことには心を砕いているようですけれどね。
もしかしたら冬香の隣の奥さんは、夫とセックスの相性抜群で、もうやりたい放題ぴったり毎晩昇天の勢いだったりするかもわかりませんけど、高槻から引っ越してきたばっかりの冬香にいきなり「私ダンナともうウハウハで」なんて言わないだろうし、そんな危険な話題、そうそうできませんて。夫とウハウハでも言わないでしょうに、まして他の男との恋愛話なんて、言わねえっつの。なっ、なのに。「あの人たちはこんな世界知らない」…冬香にはこんな会話をぶっちゃけられる学生時代からの友達とかいないんでしょう…。別にそういうことを話す友達いなくてもいいけど、「私が他の人にこんな体験をしているのが分からないように、他の人も私には分からない面があるんだろうなあ」ということくらいは気づいてちょうだいよ。そんなんだから奴隷にしてとか言っちゃうんだろうなあ。いいけどね、二人で奴隷プレイするくらいなら。でも新聞小説には書かないで欲しいなあ。小松先生も挿絵で困ってるみたいだし。小松先生の18日の挿絵は正直ヤバい。いいんだろうか。