いつのまに

ボケはじめてやしまいか。「愛の流刑地」です。
待ち受けには子供の写真、本体には二人の愛の記録、ああこの携帯は辛すぎる。
本当に愛のメール交信が残っていたら夫にこれまでのことがばれてしまう。いっそ自分が持っていようかと思うが、

第一発見者になる自分が疑われ、意図的に隠した、と思われてはかえって面倒になる。

と思い直し、携帯をポケットからカバンに戻す。

ここまできては、もはや逃げもかくれもしない。
冬香を殺した殺人者は、この自分である。

ただ何か冬香との思い出は欲しい。ベッドサイドに置かれたハイヒールのペンダントが目に留まる。ああ、このプレゼントをしたときは…(回想シーン)であったなあ。
つづく。
ああきくじよ。今日は重陽節句だね。菊の節句だ。
それにしてもきくじよ。何を今更なことだらけだ。第一発見者も疑われるも何も、あなた犯人だから。はっきり自分が殺したと言うつもりじゃないのかね。
ああきくじよ。私は知らなかったよ。菊治がドラ○もんだったとは…だって素っ裸なのにポケットがあるんだもんね…でもそれだったら「どこでもドア」持ってるんだから、いろんなところに冬香を連れて行ってあげればよかったのでは。あとは「どくさいスイッチ」で冬香の夫を消したげるとかね。あ、これ使ったら冬香が夫のありがたみに気がついて夫の元に戻っちゃうね。…いい話じゃないか。