ざっくりと

なんだかもう全部見返すのめんどくさい・・・「愛の流刑地」です。
(17〜22日分)
通報して警察が来て、何だかやたらと慌てる警察関係者が普通に質問したり意図が不明確な質問をしたりするなか、殺すほどに愛していたけど知っているのは名前だけなのだ・・・としみじみする菊治。
鑑識の人もやってきて、裸の冬香を写真に撮ろうとすると菊治は急に怒りだすが羽交い絞めにされてしまい動くに動けずじりじり。菊治独自の愛の法則により警察官の方々に理不尽な怒りを抱き「ここで文句言っても仕方ない、裁判で堂々と主張してやるぜ!ただ殺したんじゃねえよ、愛しすぎてちょっと力が入っただけなんだよ!ってな」という思いで頭はいっぱい。
そんなこんなで連行されることになり、マンション入り口に集まっている野次馬の見守る中、菊治はパトカーへ。
(23〜26日分)新章・病葉
起床6時、取調べ9時〜12時、13時〜16時半、就寝9時、という規則正しい生活が耐え難い菊治。時間に制約があるのは仕方ないとしても、行動の制限をされるのがとても息苦しい。狭い空間に居ることも耐え難く「助けてくれ!」と叫びたくなるし、夜の長さに苛立ちと不安を覚える。こんなとき冬香との思い出の品でも手元にあれば落着くのだが、ペンダントも携帯も身体検査で取り上げられ、哀願してもだめだった。
留置場へ収容された翌日、検察庁へ移送された。護送バスから見る風景は全てが爽やかで新鮮に見える。歩道の腋に色褪せた落葉をみつけ、それが季語でもある「病葉(わくらば)」であることを思い出す。
その病葉に冬香を思う。取調官の話によると、冬香は司法解剖の後家族のもとに帰されるということだった。解剖は1日程度で終わるそうなので、もう荼毘に付されているのか。「ふゆか・・・」と心の中で叫んでみる。
尋問は順調に進んでいる。検察庁の翌日は地裁で勾留状を交付された。4日目には本格的な取調べが始まったが、菊治は少し体調を崩していた。とはいっても熱があるとかいったものではなく、眠れなくなってしまっただけなのだが。長い夜に今後の自分や元妻・息子、冬香の家族を思うと発狂しそうで頭痛がし、吐きそうになるのだ。
ちゃんと申し出れば取り調べも中止されるし、医師の診断も受け独房で寝ていることも出来るが、甘える気はないし弱味をみせるのもいやである。それに独房で寝ていても気がめいるばかりなので、取調室まで歩いた方がまだましだ。
担当の取調官は脇田という30代後半の刑事だ。年下に取り調べられることに抵抗を感じるが、取調官はそんなことには慣れている様子だ。身上書を読んで菊治が小説家であることを知り「今度、読ませてもらいます」などという。読んでもらわなくても結構だ。しかし脇田は意外と紳士的で、取調べにおいても「いろいろと事情があったのでしょうから、全て正直に話してください」とソフトな印象である。
そんな紳士的な取調べでも菊治にとって屈辱的なのは、腰縄をつけられていることである。もう耐えられない。
つづく。
淳ちゃん今度は「犯罪者の人権」について書こうとしてらっしゃるんでしょうか。狭い空間に押し込めるとは何事か、思い出の品くらい身につけさせてくれてもいいじゃないか、腰縄つきの取調べなんて・・・など、日本の司法警察について物申しているつもりなのかと。
それにしても菊治が対象者だと思うと、腰縄でも亀甲縛りでもなんでもやってしまえばいいのに、と思ってしまいます。