出しちゃうのか…

ほんとうに?「愛の流刑地」です。
(15〜18日)
何かあったら自分に言って欲しいとぶっきらぼうに言い、高士は帰っていった。
思いがけない息子の面会に、菊治はとても嬉しくなる。だが同時に高士の受けた衝撃を思うとつらくなる。気を使ってか高士は詳しい状況を聞いてこなかったが、実際のところどう思っているのだろう。深い性愛の果ての行為であるが、若い高士にはその性愛の深いところなど知る由もなかろう。
ふゆか…とつぶやき床につく菊治。
3日後、中瀬が面会にやってきた。何の用かといぶかしがりつつ会ってみると、あの「虚無と熱情」を出版したいと言ってきた。笑い出す菊治。
そんな菊治を戸惑いの表情で見る中瀬。5000部でも出版はムリと言われたあの「虚無と熱情」である。ところが冬香を殺害しただけで今度は是非にと言い出すのである。こんなにバカバカしく笑える話などないではないか。
笑い、愛する女を殺したからか、と皮肉まじりに言う菊治に、中瀬はうなだれつつ、殺した相手に捧げている小説が売れぬはずはない、と言う。
やがて菊治は悲しくなる。
今日のところは中瀬に帰ってもらい、独房で考える。この小説をこの時期に出版するのは2人の愛を汚してしまうような気がする。
天窓から降りてくるスリップ冬香に問うてみる菊治。いつものように冬香は優しく微笑んでいる。冬香に問うとゆっくりとうなずく。出版することで二人の愛を理解する人もでてくるかもしれない、と菊治は思うのであった。
つづく。
本当に出しちゃうんでしょうか。やっぱり出版社の不況もたいへんなんですね。
あー、次の作家さんは誰でしょう。今ラッキーチャンスですよ。次の人はそこそこの小説でもすごくよく見えると思うなあ。