自分らしさなどそうありゃしませんや

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

本文中で使われている写真のキャプションが無理矢理自説寄りにしてあって笑える。
「希望を失った若者が街中に倒れこんでいる」(P109)は単なる酔っ払いってことはないのか?昼間っから酒を飲んでたら「ああもう希望がないから昼間から酒か」なのか?(菊治っぽい書き方だな)夜じゃなくても飲むやついたけど。「大学時代オレは酒ばっか飲んでたなあ」って後から言いたい人。
ほうほうと思う点もあるがかなり強引。
所得と既婚率の相関にしても既婚者は夫婦合計所得、未婚者は単独所得で一緒くたにして「(所得が)500万円を越すと一気に結婚が現実的になり始め」(P125)と言い切られても。それって「結婚したから500万円を超えた」ってことはないか?同じページに「男性の所得と配偶関係の相関を見ると、所得が上がるほど既婚率が高まることが明らか」とあって、そりゃそういう結果になるだろうとは思うけど、ならば既婚者は夫婦合計の所得にしないで、男性単独の所得の高低で既婚率がどう変わるかを比べないと意味がないんじゃ?そういう調査って統計学的にはどうなんですか?データっちゅうのは都合いいように使おうと思ったら使えるし…。
同じ階層社会の話なら「機会不平等」(斎藤貴男)のほうが陰謀の香り漂って面白かったです。エリート教育必要派のおじさんは、大概自分の子供はエリートの方に属すと信じていて、自分の子供には他の階層とは違う教育を受けさせたいと思っているからこその必要派なんだろうと思いました。自分の子供がエリートたるに値する人間かどうかはまた別問題なんだけど、まあ金でなんとかなっちゃうってことすか。それがまた階層社会ってことで。イヤな世の中よのう。
機会不平等 (文春文庫)

機会不平等 (文春文庫)