いい最終回でしたよ…

私の履歴書はね。「愛の流刑地」です。早く終わってくれ。
(30日)
気づかぬうちに菊治号泣。荒木町のママからの手紙が心のそこから嬉しい。初めて自分の気持ちを分かってくれる人に出会えた。
このママだけは、冬香の気持ちとこの事件の背景を分かってくれている。こんなありがたい理解者が四谷の小さなバーのママだったなんて、難しい試験に合格した弁護士や検事ではなく、また厳しい倍率を「抜けて」入社した編集者でもなく、市井の片隅で名も知れず生きてきた女性であったコトが嬉しく、そして不思議でおかしいと思う菊治。

「ありがとう…」と手紙に頭を下げる。

…遺族に詫びたときよりも心がこもってますな。
手紙のなかで一番嬉しかったのは冬香を世界で一番幸せな女といいきってくれたことだ。世の中の人のほとんどが冬香を可哀想で憐れで淫らで馬鹿な女と言っている中、ママだけが違うという。頭や理屈ではなく、長年女として生きてきたその実感を元にいいきってくれたのだ。

「よし…」
菊治のなかに初めて、戦う意欲が湧いてくる。

結婚、離婚、不倫を重ね、この世の誤りのほとんどを実感してきた女が、殺した気持ちが分かるといってくれたのだ。

このママに、法廷に出てもらったらどうだろう。別にむずかしいことはいらない。
ただ一言、「エクスタシーの頂点に追い詰められたら、そのまま死にたくなる。思わず、殺して欲しいと叫びたくなる」そして、
「女の悦びは、それほど激しくて深い」
それだけいってくれたら、自分はもちろん、冬香も浮かばれるに違いない。

でもそれって可能なの?とちょっぴり不安の菊治なのでした。
つづく。
しみじみと、「ああ、菊治ってバカなんだなあ…」と思った。寒さが身にしみた。