おーとこーならー

by佐野史郎。懐かしー!「愛の流刑地
(16日)
男なら激しく淫らな瞬間を録音しておきたくなるものだろう。オンナも口では「ダメよ」なんて言いながら、実のところ一緒に後で聞いてみたら高ぶってくるものだろう。菊治妄想爆発。↓

事実、冬香も箱根に行った頃から、枕元にボイスレコーダーがあるのを知りながら、咎めることはまったくなかった。むしろ録音して、菊治がひとりできいていることに満足していたようでもある。
深く深く愛し合っている2人なら、それは愛の証しとして、むしろ自然の成り行きである。

菊治、また記憶の捏造だよ。
読者どころか冬香もボイレコの存在知らなかったじゃねえか!なにが「菊治がひとりできいていることに満足していたようである」だよ!いつの間に冬香が許してんだよ。とがめなかったのは知らなかったからじゃん!
ともかく、そんな自分弁護をしてみたものの、白昼睦み事を晒されるとなると、男のエロさだけが浮き彫りになり、呆れられる対象となってしまう。実際、傍聴席には眉をひそめている者もいるようである。
菊治がひたすら項を垂れながらもそんなことを考えている間も、キタちゃん弁護士の証拠申請は続く。今度は証人の申請である。ひとりは中瀬宏。初フルネーム登場。菊治の温厚さと作家としての印象を話してくれる予定。
そしてもうひとりの証人、それはハイきました!マコママこと菊地麻子。ご存知バー「マコ」のママ、エクスタシーには一言おありの熟女であります。キタちゃん弁護士の申請のお言葉がまたふるっておりますよ。

「この方は被告人に手紙をよこし、女性の性について、とくにエクスタシーの頂点においてどのような心情になるか、被害者の訴えに深く共感している方です」

キタちゃん…
あんた、バカあ?すみません、今さらエヴァもないですな。
キタちゃんもこんなこと大真面目に言うのか。法廷で。
申請された以上、裁判官も検事に問うわけです。この証拠どうよと。
美雪ちゃん検事曰く、

「その女性の、証人尋問には反対します」
あまりのきっぱりしたいいかたに、菊治は思わず顔をあげる。

菊治…
あんた、バカあ?
ひたすら反省してる的態度とってたのに、こんなんで頭上げちゃうのかあんたは。やっぱり反省も何もしてねえな。
美雪ちゃん検事は、この証人に主張させようとしていることがらは、あくまでも個人的感覚で、客観性がないので証拠として使えない、と主張する。

女性である検事が、真っ向から女性の感覚を否定する。
「それはあくまで、その女性一人の感覚で、すべての女性に共通するものとは思えません」
検事の勢いにおされたのか、裁判長は改めて裁判官らと協議してから告げる。
「その女性の尋問は見合わせます」

初めて美雪ちゃんがいいこと言った!菊治よ、別に勢いに押されたから裁判官は尋問を見合わせたんじゃないと思うぞ。あんまりにもバカだからだと思うぞ。
次回審理は12月12日。
つづく。
そもそも「セックスの絶頂時の感覚」なんて個人的感覚満載じゃないですか。それを裁判で証言されてさも女性の見解づらされたら「異議アリ!」ですよ。「男はセックスで気持ちイイと射精するんです」とかいうレベルとは違うで。そんなんやったら首絞めプレイの好きな女性を証人申請して「首を絞められるとすごくイイんです。だからいつも「絞めて」って言います。時には口が滑って「絞めて、殺して」って言います」と言っていただいたほうがまだまし。そうすれば「ああ、首絞めセックスの好きな人はいるんだな」と認識するにとどまるでしょう。マコママ、あいつはエクスタシーを知ってる女性はみんなそう、とかしたり顔で言いますよ。勘弁してくれ。
美雪ちゃん検事がすごい勢いで反対したのは、実はマコママは美雪ちゃんの実母で、2人の間にはいろいろあってもう何年も会っておらず、こんな公の場で、それもエクスタシーがどうしたこうしたと、相変わらずな母の姿をとっさに思い浮かべ、職務上の理由+母への憎悪のため強く、強く反対したのだ…とかいうサイドストーリーがあるならちょっとだけ読んでみたい。
それにしても何で裁判の期日がいつも語呂がいいのか。じゃあなにか、さらに次の審理は1月1日か。それとも1月11日か。10月10日が祝日でも開廷する流刑地方裁判所のことだから、正月一日から審理しかねないぞ。