法廷の中心で違うと叫ぶ

じさま。「愛の流刑地」です。
(17日)
裁判長が告げる。

「被告人を、懲役8年に処する」

ざわつく傍聴席。法廷を飛び出していく記者もいる中、菊治は意外なほど落着いていた。裁判長は理由を述べる。
「被告人は平成十六年十月から、被害者入江冬香と知り合い、以後交際を重ね…」

いったい、これはなになのか。菊治は自分のことを言われているのに、なにか無味乾燥な、見知らぬ人のレポートをきかされているような気がしてくる。

交際から自宅で絞殺するまでの流れを述べる裁判長。その後事実認定に移る。
「被告人の行為は幾度も要請された上での行為と推測されるが、その要請を受け入れることは社会道徳的には異常な、許されざる行為であることは予測可能。嘱託殺人については、末期癌患者が安楽死を求めるような、本人の任意かつ真意に基づく訴えの場合のみ認められるものである。性的関係の中での瞬間的な戯れ、興奮による発言は嘱託殺人の要件を満たさない。よって殺人罪に該当する。被告人の殺意の希薄さと遺族への謝罪、金銭的援助の申し出により主文の通りの量刑とする」

瞬間、菊治は「違う」と叫ぶ。

つづく。
違う…違うのね…戯れなんかじゃないとか…興奮状態だからこその本音だとか…傍聴席になぜかいるマコママの合いの手とか(「そうよ!そうだわ!オンナの本音はエクスタシーの頂点で発せられるのよ!」廷吏につまみだされながらも叫ぶマコママとか)…なんかもう、その全てに対して読者から「ちがーーーーう!」とツッコミたい。何でもいいけど、法廷でエクスタシー闘争でもおっぱじめるつもりすか?それも今さら…裁判長、つまみだしちゃってください。