はぁ…

これが人間を描ききった小説なのか!なのか??(首をひねりながら)「愛の流刑地」です。
(18日)

どうしてそんな声がでたのか、菊治は自分で自分がわからない。

自分で自分がわからないのはいつものことでんがな。読者も菊治のことがわからないし分かろうとも思わないが…
いままでずっと不満を抱いていた。たまった苛立ちが声になって溢れ出たのか。もう止まらない菊治。

「被害者からの依頼とか要請とか、そんなものではない。そんなことは、なんの関係もない。ただ、ただただ冬香が…」

裁判官の「静かに…」という静止も振り切り、菊治は叫ぶ。

「ただ、このまま死にたい、殺してというから、そのとおりしただけで、ただそれだけで…」

「被告人静かにしてください」という裁判官からの再度の言葉に、刑務官2人が左右から菊治を押さえ込む。なおも裁判官に向かって叫ぶ。

「法律だ刑法だと、あんたたちは屁理屈ばかりいって、なにもわかってない。なにもわからぬくせに…」
右の人差し指で女性の検事を指差した途端、刑務官が菊治を後ろから羽交い絞めにし、もう1人が手錠をかける。

検事の前を通りむりくり退廷させられる菊治。廊下では30くらいの若い刑務官に「ここをどこだと思っているのだ」と睨みつけられ、背中を小突かれる。

なにか、とてつもないことをしでかしてしまった。あんなことを叫んでいったいどうなるのか。
まさか、これで刑が重くなることはないだろう。もう、判決は決まっているのだから。

不安が襲ってくるが、言いたいことを行ってすがすがしい心持がする。もう8年でも10年でもかまわない。気持だけ異様に高ぶっていると自分で思いながら、「これでいいのだー!」と自分に言い聞かせる。
つづく。
今日のキモは「まさか、これで刑が重くなることはないだろう。もう、判決は決まっているのだから」ですね。あんだけ愛してる違う言いたいことがあると散々思っていたのにいえなかったのは、結局全部言ったら量刑にどんな影響を与えるんだって心のそこで思ってたからなんでしょうなあ。だから判決出てから言っちゃう。そうすれば自分の発言が量刑に影響しませんからね。…なんていっておいてなんですけど、まあそんなこと考えるような人物造形してませんから関係ないと思うんですけども。
菊治の「あんたたちは屁理屈ばかりいって、なにもわかってない。なにもわからぬくせに…」という叫びは我々のような「ツッコミ隊」に対する淳ちゃんの魂の叫びでしょうか。「なに、性のオチコボレどもが文章につながりがないだの前に書いたことと矛盾するだの全然愛を感じないだのテクなしだの言いたい放題屁理屈ばっかりこねやがって!おまえらなんにもわかってねえくせに!性のエリート様の言ってることが理解できないくせに!何が東野圭吾だ!なにがトリックだ!人間を描けって言ってるだろうが!人間ってのはなあ、セックスなんだよセックス!セックスが描けない奴は人間が描けないんだよ!!(以下略)」
注)上記の“魂の叫び”は私の妄想及び創作ですので、実際の人物とは一切関係ありません。