そりゃアンタ犯罪ですよ

 愛とはつらいものなのね(本文とは一切関係ありません)。「愛の流刑地」です。真剣に読んでいる人がいたら、衣良さんを交えて討論したいです。
 衣良さんにはさらっと毒を吐いて欲しい。
 そんなわけで金曜日のあらすじです。
 抱き合って倒れたところがベッドだと分かると慌てる冬香。起き上がろうとするのを押さえ込みにかかるハッスル菊治。耳元で「好きだよ」なんてささやきます。とってつけたように、というのはこういうことを言うのでしょうか。それでもいやいやをする冬香。ここで菊治の内面が地の文で綴られます。

おとなしくさえしていれば手荒なことはしない。

 それ、犯罪者のセリフだから。無理やりはダメですから。それ、スーフリ和田メンですから。
 まあともかく、冬香を懐柔しようとやさしく肩口をなぜなぜする菊治。もうとにかくヤろうと必死です。乳もみしようとするもカットソー着用のため生チチに触れられないわ、冬香に拒まれるわ、犯罪実録小説かとみまごう描写です。冬香も何でついて来たのか分かりませんが先を急ぎます。

「脱いで…」
 このままでは可愛い縫いぐるみを抱いているようなものだ。
「お願いだから」
 いつものことだが、女性を裸にする時はお願いするよりない。その先に美しい果実がある限り、いかに平身低頭しても、過ぎるということはない。

 またここで衝撃の事実が明らかに。淳ちゃん菊治的トリビア:女性を脱がすにはお願いが必要。
 恋愛小説書かないほうがいいんじゃないでしょうか、この主人公。お願いしなくても女性の服を脱がせられる男性はこの世にあまたいると思うのですがいかがでしょうか。世の男性がた。
 まあとにかく、お願いされても脱がない冬香。当たり前です。ですが菊治はそうは思いません。ふと部屋を見渡し、部屋の中が明るいことに気づきます。「分かった!冬香が脱がないのは明るくて恥ずかしいからだな。よしよし、カーテンを閉めてっと…ほおら、部屋が暗くなったよ!脱いでも大丈夫!」と能天気な行動をとります。その隙に冬香は立ち上がっており、菊治に浴衣を貸してくれるよう頼みます。そして浴衣を持ってバスルームへ…その背中を見送りつつ、菊治は思うのです。

 まだ冬香をしかととらえるには、いま少し時間がかかりそうである。

 つづく。
 不倫がどうこうじゃなく、犯罪スレスレの男・菊治。
 モテない理由は年をとったからではなく、こんな男だからだと思われます。