もしやテクニシャンは…

 淳ちゃんセンセイお元気ですか、「愛の流刑地」です。
 冬香に子供がいるのは分かっていましたが、なんと3人であることにショックを受ける菊治です。

 男は好きな女性に対して、一方的に夢を抱く。それも美しく、純粋な夢を。

 はいはい、純粋ですね。もう超好みの女性に夫がいて、子供が3人もいて、超ショック、っと。菊治、ショックなわりにはいろいろまた妄想中です。「こんないい女だもの、夫もいるだろうさ。夫もいればこんないい女だもの、子供もいるさ(そりゃヤリたくなるよね、の淳ちゃん的婉曲表現とみました)。そりゃ3人も作るわけだよ、いい女だもの」「夫のもとめに応じるのであろう…」だいたいこんなことを考えています。気が滅入ってくる菊治です。子供がいるのが何だ!夫がいるのが何だ!そんなの「愛の障壁」になどならーん!と盛り上がるものの、1人で勝手に残念がります。

 どうして自分が現れるまで1人でいてくれなかったのか。そして子供も産まないでいてくれなかったのか。

 と勝手なことまで考え始め、挙句の果てには、

 菊治は今1人の女性に惚れ、彼女にたまたま夫がいて子供がいただけである。

 と思うに至ります。上司(妻子持ち・下の子は5歳)と不倫関係にある独身OL(24歳)みたいな域に到達しました。菊治、50代にして不倫OLの気持ちを察する。作家として新しい境地が開けるかもしれません(開けないかもしれない)。

 「いまさら後戻りすることはできない」
 菊治はつぶやきながら、見知らぬ冬香の夫のことを考える。

 つづく!
 今まで菊治が語り手だったので気付かずにいましたが、実はテクニシャンなのは冬香なのではないでしょうか。でないとあの衝撃の「ください」発言の真意が全く読めません。
 95%の男性はあの「ください」で萌えにはならないと思うのです(数字適当)。あそこで「ください」と女性に言われることによって菊治のように「狂っちゃうぞー」と思える人でないと、あの言葉は呪詛でしかないのです。ピンポイント5%の層にのみ有効なプレイなのです。このピンポイントを見抜く力はすごいです。浴衣の下にブラとスリップの完全防備なのも、はっきりしゃべらないのも、「ください」だけは毅然としているのも、コレ皆菊治の好みを見抜いてあわせているのです。祥子を介して逢ったあのときから、冬香は菊治の好みを見抜いているのです。周到な「菊治プレイ」。冬香は自分のしかけたプレイに菊治がハマって行くさまが楽しくてしょうがないのです。今バスルームでにやりと笑ってますよ、冬香。次の手を考えている最中…
 …菊治の妄想癖に私もヤられてしまったようです。土日の間に自分を取り戻そうと思います。