挿絵もクリスマスを意識して

 キモいんだよ!(後輩の菊治に対する評価)「愛の流刑地」です。
 土日月分と続けてお送りします。

 これで小説を書けるかも、と中瀬に言われ嬉しく思う菊治。中瀬によると、男性作家は恋愛中にいい小説が書けるが女流作家は恋愛中は全くダメで、恋が終わるとおもむろに書き始めるのだという。*1
 冬香がいい女だから、恋に走れるのだというようなことを中瀬に言うと、中瀬にそのように恋に走れるとはお前は気が若いせいだ、と言われます。普通はいろいろ考えてしまい、先へは進めなくなるものだ、との中瀬に「いろんなことを考えていたら何も出来ないだろ」と返す菊治。そして出来ないうちに年を取っていくのだよ、と言われ何だか分別臭くていやだなあ、と思うのであった。
 菊治は中瀬が思いがけず窮屈な考えをもっていることに驚いた。出版社よりもメーカーのお偉いさんのほうが、愛人が3人いたりお盛んな人が多いようだ。
 中瀬は「いい女と見たらすぐ手を出すくせがないとできんよ」と言うが、菊治は「俺もそうか・・」とひとりごちる。恋愛体質が大事みたいです。女性誌の特集のようです。

 菊治の場合は、逢った瞬間から、冬香との間に電波のような者が交錯した。恋の始まりはいつもそうした予感がある。

え?いつの間に?読者を置き去りにしたまま菊治は思い返しています。
 中瀬はすぐ手を出す癖がないと、そのうちやらなくても平気になってしまう「やらな癖」がつくと言います。それを聞いた菊治、

 「やらな癖か…」
 菊治はつぶやきながら、そんな癖だけは、絶対につけたくないと思う。

 そんな癖、菊治につこうがどうしようが知ったことではありませんが、とりあえずコンドームはきちんとつけたほうがいいと思います。

 さて、中瀬と会った後、菊治は冬香にメールを送ります。「また逢いたい。すぐ逢いたくなるのです」バカの1つ覚えとはこのことでしょうか。冬香も逢いたいとの返事。またこの間のような時間に逢引が設定されました。

また行けばこの前と同じくらい金がかかる。菊治には辛い出費だが仕方ない。

 また金の話です。しょぼいんだよ、と何回言えば分かってもらえるのでしょうか。不倫小説にショボさは致命的だと思うのですが。
 そんな読者の嘆きなど露知らず、菊治はまた冬香に逢えることで新たな喜びと勇気が得られるとワクワクしています。「大変な恋に落ちたものだ。遠距離なうえにしかも人妻。恋愛体質なだけではカバーしきれないくらい、冬香が好きだからだよなあ。どこが好きかって聞かれると分からないんだけどさー、控えめなくせに奥に淫らさを秘めてたり、どこか頼りなげで耐えている風情がたまらんよー」と、盛り上がりまくりです。
 こちらとしては、またどうせ大した会話もしないで部屋にシケこんでヤっちゃうんだろ、とうんざりしているのもお構いナシです。その上菊治は極めつけにこんなことをほざきます。

 なぜともなく、菊治は冬香を救い出す、騎士(ナイト)のような気持ちでいる。

 欲求不満地獄に陥っている人妻を、加藤鷹ばりのテクで救い出すナイトですか。おめでてーな。冬香は「喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな」(齋藤孝倉田真由美)でも読んで勉強した方がいいと思います。多分菊治の偏愛マップにはど真ん中に「セックス」と書いてあります。間違いない!(←何を今さら)

*1:これは淳ちゃん本人の持論でもある。現在発売中のan-an林真理子の「美女入門」に淳ちゃんがそのように林真理子に語ったというくだりが出てきます。