各自自習!

冬香、がんばります!「愛の流刑地」です。
ベッドに入り、どちらからともなく寄り添う二人。

「逢えないあいだ、変わりはなかった?」「ないわ、絶対守ったから、大丈夫よ」「よかった、俺もただただ君を待っていた」「わたしも、貴方のことだけ考えていた」
とくに言葉は交わさなくても、肌を寄せ合い、しかと抱き合い、接吻をし、舌と舌をからませる。

そんな会話を交わしたのかと思いきや、菊治の想像でした。体は雄弁ということらしいです。…まあいいです。
互いの抱擁がゆるんだところで、ようやく逢えたのだという安堵を感じ、第二のボディランゲージである。

「そろそろ、入ってもいいかな」
「もちろん、わたしも待ってたの」
ほうら、こんなになってる」
すごおい、可愛い
ここでも、言葉はなくても、ともに股間をふれあい、菊治のものを冬香が掴むだけで、2人がいおうとしていることがわかる。
「駄目だ、もう待てない」
「わたしも、ください」

そんなボディトークのお2人です(菊治の想像)。

「ほらあ…」
「入ってくる」

これもボディトークです。
えっちらおっちら前後運動をしていると、冬香の口からこんな言葉が…

「つらぬかれてるう…」

え?菊治も思わず素になって聞き返します。「つらぬかれてる?」黙ってうなづく冬香。
それはそうと、菊治の動きに合わせて腰を動かす冬香。隙なく合体です。2人は1つです。

もはや言葉はいらない。ただ激しく燃えながら、二人はともに、「死ぬほど好き」という、そのことだけを語り合っている。

つづく。
えー。菊治の一人称が「俺」になりましたので、今菊治はノリノリです。
気になる点は多々ありますが、ここで注目したいのは「つらぬかれてるう…」ですかね。すごおい可愛いも、もちろん私も待ってたのも実際の発言ではありませんし。
つらぬかれてるう…
そんなこと言い出すなんて思ってませんでした。おそるべし、冬香。
逢えない時間が愛育てるのさ、と郷ひろみも歌いました。セックスを楽しいと思えるようになった冬香は菊治と逢えない間、自習したのでしょう。もっとセックスを楽しみたい。菊治にもっといどんでもらいたい。1人でこっそり女性向けのエロ本を読んだのやもしれません。「自分の言葉で今の状況を説明すると燃えますよ」という一文でもあったのでしょうか。「ああん、入ってる…」とか「おっきいよぉ」とかよくエロ本にありますね。冬香も決意しました。「よし!私も状況を述べてみよう!そして燃えよう!」いつもはおとなしく、周囲の意見に流されやすい冬香も菊治によって変わりました。子供を3人産んでもなんとなく、結婚もなんとなく。そんな冬香が初めて自分から行動を起こそうと思ったのです。そうした決意の元の「つらぬかれてるぅ」です。いやあ実に深い。深すぎです。底が見えません、隊長!
ああ、これが冬香という女性の自立の第一歩です。自立への雄たけびであります。美しい。素晴らしいではありませんか。わたくし、涙でディスプレイが曇ってまいりました。

しかし。いかんせん冬香です。言葉のチョイスがいかがなものかと。
だめですよ、聞き返されちゃ。冬香さん、ベッドではわかり易く。ピストン運動で忙しい殿方に「え?今なんつった?」と素になられてはいけません。真の自立のために、次はもっと頑張りましょうね。
でもよかったねえ、相手が菊治で。いろいろ勝手に想像してるみたいだから、何言っても大丈夫よ。冬香にはぴったりです。
よかったねえ、隙間なくぴったりな相手で(笑)。