ますますわからん

思い返す程、へんちくりん。「愛の流刑地」です。
男によってずいぶんと見方が変わるものだ。菊治にとっては愛しく性的に成熟した女が夫にとってはおもしろみのないつまらぬ女になってしまう。男の見方というよりも、女が接する相手によって妖艶にもかたくなにもなるということかもしれない。

「いま、彼とは快くなれないといったけど…」
菊治は言葉を選びながらきいてみる。
「僕とはいつ頃から快くなったの?」

選んでへんやんけ!ごっついストレートやんけ!

「初めは緊張していたので、でもニ、三回くらいからかな。あなたがとてもやさしくしてくれたので…」

そういえば、最初は京都のホテルで接吻、次に初合体し、冬香の迷台詞「ください…」になったのであったなあ、と思い返す菊治。
最初の頃は今のように激しく乱れたりしなかった冬香だが、菊治は冬香が歓びを感じていることは分かっていた。
冬香が言うには、菊治と知り合ってからセックスが快くなったのだという。優しい接吻、好きだよという言葉、ゆっくり時間をかけてコトにおよんでくれること…そんなセックスは初めてだったそうだ。

冬香はそこで急に恥ずかしくなったのか、菊治の胸に額をすり寄せて、
「私の体に、火をつけたのよ」
そういわれても、菊治にはそんなことをしたという意識はない。ただ冬香が好きで、懸命に愛した結果が、眠っていた冬香の体に火をつけることになったのか。

自慢げなわりに別に冬香の体に火なんかつけてねーよ、という逃げを打っている菊治です。
ピロートークは続くもようです。
つづく。
あのう、夫とのセックスしか知らず、セックスとは苦痛なもの、と思っていた女性が、大した会話もしない男にティールームで「逢いたかった」「逢いたかった」といわれただけでホイホイホテルの部屋までついていくものなんでしょうか。たぶん淳ちゃんの切り札は「恋は言葉ではない。逢ったときにふと落ちるもの」なんでしょうけど、ならばそれなりに恋に落ちた描写を入れていただかないと、はっきりしない尻軽人妻がちょっと誘われたからってほいほいついていった、というだけにしか思えませんよ。さらに言えば、そんなセックス拒否的な女性が、いきなり「ください…」なんて言うんですか、このご時世に。あのね、中田氏=愛の証なんて化石でも言わないですよ。2回しか逢ってないのにいきなり「あなたの子供が欲しい」なんて正直怖い女じゃないですか。1回目は上っ面な会話しかしていない、2回目はいきなり部屋に連れ込んで夜景の見える窓辺で濃厚接吻、どこに惚れればいいんですかー!