桜散る散る

いつになったら流されてくれるのか。「愛の流刑地」です。
一旦起きて冬香のメールを読んだが、ベッドにもぐりこんでぐずぐずしていただけの菊治。冬香が来られないかも、とは思っていたが、実際来られないとなると不満である。

子供が風邪では仕方がないと思いながら、熱ぐらいなら、そっと寝かせて出てこられなかったか。いま一度、電話をして、「これからでもどう?」ときいてみようか、とも思う。

勝手なこと言いなのは今に始まったことではございません。
まあともかく冬香も菊治以上に悩んだのだろう、というところに思い至り、人妻とつきあう以上はこれくらいのことは覚悟しておかねば、と自分に言い聞かせる。でも落ち着かない。

なによりも、冬香がきていたら、いまごろベッドの横で服を脱ぎはじめたところである。
それからベッドに忍び込んできて、ともに抱き合う。

?花見は?桜は?そんなことしたら桜散りまくりだよ!
そんなエロ妄想をしていたら菊治の息子さんが自己主張を始めたらしい。感情のおもむくまま、抑制のきかない息子らしいです。自家発電開始。その後もエロ妄想続く。

「ふゆか…」
囁くと、冬香が「はい」と答え、頭の中で冬香の白い体が悶えだす。

自家発電に何を使おうとどうぞご自由に。
いい年をして、と呆れながら1人フィニッシュです。
つづく。
にしても、菊治は自分からどこかへ行こうとは思わないのか。冬香を呼びつけてばかりです。病気の子供置いて出て来いとかさ…深く大きな愛情を持っているわりには、自分は楽しようとしてばっかりですね。人間というものは矛盾をはらんだ生き物ですから、いつも適切に行動できるなんて思っていやしませんが、菊治の冬香に対する態度は愛情たっぷりの人間には思えないことばかりです。だったら体の関係である、もっとイイコトしたいんだオレは、と開き直ってくれれば「なるほど、そういう話ですか」と思えるものを、変なところでただただ愛した結果冬香をイカせました、なんて言ったり、「性愛には純愛以上の愛がある」とかなんとか屁理屈こねたりするからいけないんですって。
そもそもこれはスポーツ新聞向きであるからして。