バーカバーカ

救いようがありません。「愛の流刑地」です。
いかに昇り詰めたとて、冷静なのは菊治のほうである。(なぜならもう出しちゃったから)とっとと起き上がり、すがりつく冬香に「まだ休んでいなさい」と口先だけの優しさめいたものを投げつけてバスルームへ向かう。

躰はとくに汚れているわけではないので、局所を中心にシャワーを浴びる。

やっぱりこの男、汚れてないと洗わないタイプみたいです。
残ったタオルで体を拭き、冬香の元へ戻ると、冬香がシーツを取り除いている。

「ごめんなさい、やはり汚してしまって…」
「そんなの、かまわない、どこなの?」

菊治が見ようとすると冬香がさえぎる。そしてバスタオルとシーツを持ち帰って洗いたいと申し出る。こちらで洗濯に出すから大丈夫だと言う菊治に冬香は、タオルだけ今洗ってしまい、シーツだけ持ち帰らせて欲しいと食い下がる。菊治はあっさりそれに従い、新しいシーツを取り出す。「すぐ終わりますから、待っていてください」という冬香。

どうやら、寝室から出ていって欲しい、ということのようである。

独自の解釈により寝室を出、冷蔵庫のウーロン茶を書斎で1人飲む菊治。外を眺めて冬香が祥子に会いに行き何を話すのだろうか、夫は一緒かなどに思いをめぐらす。すると冬香がドアをノックし、帰り支度をして現れる。紙袋にシーツを仕舞い、次に来るときに持って来るという。

「今度は、六日だね」
「はい、いいですか」
いまの菊治には、冬香と逢うことしか、とくに決った予定はない。

つづく。
…はあ…
ほんと、菊治はやるだけやったらどうでもいいのな。冬香もシーツもって帰ったらバレバレちゃうんか。バカップル、という言葉はこの二人にささげます。
それにしても汚れたタオルとシーツの処理にしたって、菊治責任もてよ。「大丈夫、こちらで洗濯に出すから」て。クリーニングに血みどろのまま出す気か。私がやります、と言ってもそこはあーた、「大丈夫」の後には「僕が洗うから」と続けようよ。恥ずかしがる冬香に「何が恥ずかしいもんか。僕らの間に恥ずかしいことなんてあるかい?」とか何とか言えばいいじゃん。汚れたシーツとタオル置いて一人ウーロン茶ですか。いいご身分ですね。
あー、バカだ。バカすぎる。こんなバカ小説読んで喜んでるオヤジはさらに輪をかけてバカだ。できれば喜んで読んでることを喜んで周囲にカミングアウトしてください。そうすれば周りの女性たちは「ああ、このオヤジはバカなんだな」というのがものすごくよく分かるので助かります。