日本が

W杯を決めたとて、菊治と冬香のやるこた同じ…「愛の流刑地」です。
部屋には浴衣が二つ置かれている。菊治が大きいほうの浴衣を手に取り着替えると、脱いだそばから冬香が畳んだり、ハンガーにかけたりしている。

こんなサービスをされるのは何年ぶりだろうか。

サービスて!
愛してる女性と旅行して、そういうかいがいしさに触れて、それを「サービス」などと称するものか?ヤッパ菊治オカシイヨ!ニホンノオトコ、ジョセイヲゲイシャダトオモッテルネ!と、カンチガイ込みで海外から非難されそうな描写だ…誤解しないで!日本の男というよりは淳ちゃんがそうなの!
先にお風呂どうぞ、と冬香にうながされ、内風呂ではなく一緒に大浴場へ行こうと誘う菊治。2人は男湯・女湯に別れ40分後に待ち合わせることにする。時間通りに菊治が出てくると、すでに冬香は待ち合わせの場所で待っていた。髪をバレッタで後ろにまとめ、かすかに微笑む。

瞬間、菊治は思わずうなずく。
湯上りのせいか、ほんのりと頬が上気して、巻き上げた項が白く浮き出ている。
「いい女だ…」

もうおじさんやだなあ。作家のクセに語彙なさすぎ。
浴衣姿の冬香に萌える菊治。「いい女だ」と言われ恥ずかしげな冬香に菊治が問う。

「和服は、持っているのでしょう」

エスの返事に菊治たたみかける。

「冬香の、着物姿を見たい」

今回はひらがなではありません。旅館の浴衣でこれほどの色香である。自前の着物ならさらにいいだろう、と和服萌えの菊治。

「いつか、見せて欲しい」
「本当ですか?」

またもかみあわない二人の会話。見せてくれ、に対して本当ですか?というのはおそらく「本当(に見たいの)ですか?」ということなのだとは分かりますが、だったら「本当(に)?」と聞く方が普通な気がします。助詞って大事ですね。

「見せてくれるの?」
「あなたが、見たいのなら」

よくよく考えるとコスプレ依頼みたいなもんですよね。和服だから何となく日本伝統美的な雰囲気ですけど、これがメイド服ならたちまちアキバックスですよ。淳ちゃんとアキバ、意外と近いところに存在。

「もちろん1人で着られるんだよね」
「はい」
「じゃあ、脱がしても大丈夫だ…」
途端に冬香が、呆れたというように軽く睨む。

つづく
恋人同士なのに一向にそんな風に見えないのは菊治のせいですね。サービスよばわりには参りました。サービスてああた…冬香がかいがいしいのはサービスじゃなくて菊治が好きだからなんじゃないの?冬香のほうから「サービスサービス!」なんて言ったりすれば軽口だし(キャラ違ってますけど、いつもと違う環境だからはしゃいじゃった、ならまだ分かる)、菊治が「おっ、サービスいいね!」と言っても言い方や日ごろのかかわり方次第では「もう、何言ってるの」と返したりいちゃいちゃのきっかけにだってなるかも分かりませんが、菊治心の中で言ってますからね。しみじみと「こんなサービス何年ぶりだ…」って味わってますから。マジでサービス扱いかよ!と。