いよいよ終わるのね…

信じていいのかしら…(半信半疑)「愛の流刑地」です。
(27〜30日)
注)27日分(高士の面会と帰るまで)は曖昧です。
高士は披露宴で菊治から祝いの一言が欲しいという。躊躇する菊治に、自分の父が菊治であることを恥じたりしていないので是非、美和も是非お願いします、と言う。判決が出てからと言うもの自分を否定されていると感じていた菊治は自分が認められたと嬉しい。この2人のためならいくらだって出してやる、そんな心持だ。高士は笑ってそんなハデにやるつもりはないけど、どうしても足りなくなったら頼むね、とかわいいこと(菊治目線)を言う。
そしてカレンダーの日付をつぶす毎日。今日で13日目、控訴期限は明日までである。
そこへマコママから手紙が届く。あいかわらず達筆。気に障るようなら捨てて欲しいと書かれていたが菊治は読む。
マコママは裁判を傍聴していたという。裁判官と検事はわからずやで、みな納得していない。店の客も同様で懲役8年は厳しすぎると言い、中には傷害致死罪ではないのかと言っている者もいた。さしでがましいが、冬香からの陳述書だと思って読んで欲しい、とあった。
これまで菊治は冬香の気持を考えたことがなかった。こんなことになってしまい申し訳ないとは思っていたが、冬香の立場からこの事件を深く考えてみたことはなかった。

「冬香さんもきっと、あの検事と裁判官のわからなさに驚き呆れ、失望していると思います」

マコママによれば、今度の事件は素敵な一組の男女が愛し合いされた果てにたどり着いた究極の愛の理想の形だという。これは女と言う性からみた願望であるともいう。
マコママの気持が乗っているのか、字が生き生きと躍っている。自分も一度自殺しかけたことがあるというマコママ。それも狂おしい愛の末だという。だが未遂に終わり、それがきっかけでその彼とは別れることになったそうだ。

「エロスは死です。タナトスです」

死があるから人は愛する。愛は死で完結し、昇華して無限になる。冬香も同じ気持であろう。快くなって快くなって、頂点で死にたかっただろう。本当に愛し合ったら死ぬしかない、それを菊治は立派に成し遂げてあげたのであるよ、と褒めまくりのマコママ。菊治は相変わらず「そんな考え方もあるのか」と息を呑みまくりである。
なおもマコママオンステージは続く。
8年の刑は厳しすぎるしひどすぎる。だがそれは冬香の与えた刑でもある。八年間拘置所にいる間、あなたは冬香のことを忘れられない、死ぬことで冬香はあなたを虜にしたのだ、とマコママは綴る。
読めば読むほど菊治は身震いする。これは冬香が与えた刑なのか。自分を忘れさせないために殺させたのだというのか。
今さら言っても無駄だけれど、あなたは悪い人だ。快くしない男は罪だが、死にたくなるほど快くするのはさらに大きな罪である、もうマコママの言葉が弾丸のようにぐさぐさくる菊治。

検事や裁判官とはまったく別の理由からですが、あなたはとてつもないことをしたのです。

あの世からの冬香の陳述書という名のマコママ独白ショーはまだまだ続く。
あんなに快くしてはダメ。男は好色を満足させていいかもしれないが、舞い上がった女はどうすればいいのか。もう降りてこられないのだ。

何度も何度も、死ぬまで欲しくなるのです。女はそういう性なのです。

一度知ったら我慢しないし、欲張りで貪欲で身勝手で永遠によくなっていたいものなの、そういうものなの、とマコママがまたも全女性代表として語り続ける。

あなたはまさしく罪人です。

もう快くしちゃって、冬香の身体に火をつけて、挙句に殺しちゃうなんて。んもう、大悪人ですっ、と菊治が喜びそうなことばかりを連ねるマコママ。

「あなたは選ばれた殺人者なのです。だから拘置所に、流刑地に押し込められたのです」

八年は長いけど、才能ある男を巻き添えにして冬香は満足し喜んでいる。優しく愛らしく素敵で淫らな冬香と常に一緒だと思って、愛の流刑地でお元気で、とマコママの手紙は結ばれていた。
つづく…
マコママ…昨日?の挿絵のマコママは大分若返ってらして、以前みた挿絵と違ってるんですけど、小松画伯もずいぶんと投げやりな印象をうけますね。今日もスリップ冬香だったし。
淳ちゃんは毎回3〜4回推敲をされているそうですが、もう時間の経過とかよくわかんなくなってますし、マコママも刑務所と拘置所の違いとかわかんなくなってるし、何だかなあ…そんなに直してなおも「てにをは」やらいろいろツッコミどころを遺しているのはわざとなんだろうか…。
マコママの手紙は菊治が喜ぶ勘所を確実にツボ押ししてるし、美和も菊治の言葉を披露宴でお願いとか言っちゃうし、何この都合のいい展開。2人とも実は印税目当てってことにしてくれないと納得いかないっす!
何と言うか、いろんなことが子供の考えるお話の展開みたいで(いや、子供のほうが奇想天外に面白い話を考えることができるやもしらん)、都合の悪いところは放置、言いたいことは地の文もしくはお手紙で代弁と直木賞選考委員の名が泣きまくりな状態でフィニッシュに向かっているようです。
それもこれも明日でオシマイ。さらば!
…明日、でかいフォントで「どくどく」と書いてあるだけの紙面だったら、ちょっと笑ってしまうかもしれない。